「広告」は嫌がられるということ

「広告」というものはあまりイメージが良くないものです。それは過剰な広告、過剰な表現、そして過剰なセールスが横行した時代の名残であり、未だにそのような広告を展開する悪質な事業者も存在するからです。そのような事業者に対して与えられた「嫌なイメージ」というものは、なかなか消えるものではありません。そして違法であるにもかかわらず半ば無理矢理ポストに投函されるピンクチラシなども、その「広告はお断り」というイメージ付けに拍車をかけています。これら不特定多数へ向けた広告と、特定のユーザーに向けたダイレクトメールは本質が異なります。ダイレクトメールは基本的に、「定期的に配信しますよ」という了解を得ているはずです。ユーザーが意図せずにそのような了承をしているということなのですが、個人情報を得た際にそれは確実に経由している取り決めです。ですから、あえてユーザーに対して「広告ではないですよ」というイメージを持ってもらうこともダイレクトメールの手法としては有効です。すでにそのショップで継続購入している、或いはその商品をリピート購入しているというようないわば「ロイヤルカスタマー」に対しては、違ったアプローチも有効です。例えば、「特別ご招待」であるとか、「ダイレクトメール会員限定」であるというような訴求です。
ダイレクトメールは継続的に、同じユーザーに届けるものです。正確には購読者を増やしていくことも、売上を出すためには必要なプロセスです。そのプロセスの中には、「購読を続けてもらう」ということも含まれます。ダイレクトメールを発信することが出来るリストにプライオリティをつけてみましょう。その指標は「購入回数」や「購入額」です。「ロイヤルカスタマー」と呼べるほどの属性を持ったユーザーには、違うアプローチをしてみてはいかがでしょうか。「これを買うなら、このショップ」と決めてくれている、いわゆる「ファン」といえる人に対しては、相応のアプローチ方法があるのです。そのようなユーザーに対していまさらショップに対するインパクトなどを与えても仕方がないですから、新商品などの紹介や、限定セールの実施などが望ましいでしょう。
ダイレクトメールに登録しておけばお得な情報が得られる、となればその会員が購読を辞める理由もなく、また定期的にショップで購入してくれるのです。ですから、同じダイレクトメールでも、「ライトユーザーをヘビーユーザーにするためのダイレクトメール」、「購読を定着させるためのダイレクトメール」と、セグメントを切ったほうがいいのです。双方で情報の提供を了承しているのが、ダイレクトメールです。ただのチラシとはわけが違うのです。ですから、クリエイティブを作成する際、内制でも外注でも、「チラシやポスターとの違い」を明確に考えておくべきでしょう。ユーザーも、「ただのチラシが送られてくる」というのではリピートする気にもならないものです。