封筒の材質にもこだわろう

ダイレクトメールの第一印象、つまり「ファーストインプレッション」は見た目や内容もさることながら、その「手触り」なども含まれています。パッと見ただけで「安い」と思われてしまうようなダイレクトメールは、送るだけで逆効果です。それよりも、封筒にしっかりと入って重さもある程度あり、開けてみたくなるようなものは、ユーザーから好印象を得られるでしょう。もちろん、クリエイティブを豪華にすればするほどコストがかかりますし、予算に限りがある場合は送付できる通数に限りが生じます。その場合は「反応率」を高い水準で想定しなければ割に合わない販促になってしまうかもしれません。
ここで「豪華なダイレクトメール」の一例を紹介します。それは日本たばこ産業、つまり「JT」のダイレクトメールです。JTはマイルドセブンなどの銘柄においてタバコのパッケージのマークを集めて応募するキャンペーンを実施することがあります。もちろん個人情報を収集するのですが、その際にダイレクトメールなどの販促物を送付する旨を了承させています。その後のダイレクトメールはハイスパンでは届かないのですが、マイルドセブンのバリエーションが増えたり、パッケージが変わったりするたびに、その時応募した銘柄がまるまる一箱と、マイルドセブンのイメージを量化させる小冊子が同梱されています。そのダイレクトメールはすでに「マイルドセブンを吸わなくなった」としても送付されます。喫煙者にとって、「たばこ一箱が無料で届く」ということはとても嬉しいものです。たとえ少しの間マイルドセブンから離れていたとしても、このダイレクトメールによってまた元の銘柄に戻す方続出します。
そう、いくら豪華にしても「ユーザーのニーズ」をつかんでいなければ全くの無駄です。JTのダイレクトメールは喫煙者のニーズをダイレクトにおさえ、万が一タバコを変えていたとしてもまたもとの銘柄に呼び戻す威力を秘めています。これがここでいう「豪華」なダイレクトメールの典型です。「禁煙」したのでなければ、ダイレクトメールの登録を抹消したりはしないでしょう。仮にそのような理由でダイレクトメールの登録を解除したとしても、「タバコを吸わない人」はJTの見込み客ではありませんから、「ノイズが減る」ということでしかないのです。ダイレクトメールのような「確率」としての反応率を調べなければいけない販促では、「見込み客ではないのに登録している」いわゆるノイズデータが邪魔になります。「タバコを送る」ということはそのような意味でも効果的です。
既存ユーザーの定着をより強固にし、既に離れてしまったユーザーも呼び戻す可能性のあるこのダイレクトメールは、「豪華で効果のあるダイレクトメール」の見本と呼んでも差し支えないものではないでしょうか。たとえ業態が異なったとしても、リピート性のある商品では実製品を送付する、ということはもっともユーザーのニーズを射抜いたものといえます。